高まる医療に対する不信感と医療の質への関心 これまで、日本の医療システムは非常にうまく機能していると考えられてきた。日本は世界一の長寿国であるし、衛生水準も非常に高い。医療費の対GDP比も先進国で一番低い。それは、世界的に見ても平均的な医療の水準が高いことが土台となっている。 しかしながら、今日、日本人の医療に対する不満や不信感がかつてなく高まってきている。メディアでは医療に関する様々な不祥事が連日報じられている。また、最高裁での医療関係訴訟の新受件数は、1997年の597件から2004年には1110件にも増えている。メディアによる過剰報道の面もあるが、医療の質への国民の関心が高まっているのは間違いない。 医療に対する不信感が高まっているもう一つの事情は、医療費の高騰である。2005年度の国民医療費は、国の一般会計予算が約60兆円なのに対し、31兆円にもなっている。仮に現在の疾病発症率が続