『ボウリング・フォー・コロンバイン』『華氏911』と米国社会に問題提起を続けているマイケル・ムーア監督の最新作『シッコ』(SiCKO)は、米国の医療保険制度に切り込んだ作品だ。"sicko"とは"病気"とか"感染者"って意味。知っている人も多いと思うけど、アメリカは先進国で唯一、国民皆保険のない国。健康保険は公共サービスではなく、おもに民間の保険会社が受け持っている。貧困層の人がそんなものに入れるわけもなく、国民の2割以上は無保険者と言われている。「こんな医療制度がビョーキだ!!」ってことで、マイケル・ムーアの130日以上に及ぶ突撃取材ツアーがスタートした。 一般人から医療にまつわる悲惨な体験談を自身のサイトで募集したところ、最初の1週間だけで2万5,000通ものメールが殺到したという このドキュメンタリー映画の主題はそんな無保険者の話ではなく、ちゃんと普通に収入を得て保険に入っている人た