武田 安恵 日経ビジネス記者 大学院卒業後、2006年日経ホーム出版(2008年に日経BPと合併)に入社。日経マネー編集部を経て、2011年より日経ビジネス編集部。主な担当分野はマクロ経済、金融、マーケット。 この著者の記事を見る

今回は、「男性問題」を取り上げようと思う。 男性問題といっても、何も私の男関係のいざこざではありませぬ。男性問題は、「男性差別」と呼ばれることもある男性への“イメージ”から生じる問題である。 日本経済新聞8月8日付け朝刊の1面に、「うわぁ! ついにそういう時代になったか!」と、思わず叫んでしまった記事が掲載された。次は記事の書き出しである。 「皆様、離陸いたします」。全日本空輸の客室乗務員、二川恒平(27)が着席すると近くの男性乗客が舌打ちした。「女性の客室乗務員と話すのを楽しみにしてたのに」。つぶやきが聞こえたように思えた。 そう。この記事では、“男性客室乗務員(CA)”が、写真入りで取り上げられていたのである。 5000人以上の女性CAの中にたった7人の男性CA 今から20年以上前の私がまだ、全日空(ANA)にいる頃。男性のCAを入れるかどうかについて議論が持ち上がったことがあった。
野村総合研究所は1997年から、日本の消費者1万人を対象にした大規模な調査(生活者1万人アンケート調査)を3年ごとに実施しています。2012年の調査結果を最近、まとめられましたが(『なぜ、日本人はモノを買わないのか? 1万人の時系列データでわかる日本の消費者』(東洋経済新報社))、非常に興味深く拝見しました。 97年から2012年までの様々な「日本人の平均データ」というものを見ていると、消費における「自分史」みたいなものを思い出したりもしました。例えばインターネット利用率ですが、97年は2.6%だったのが2000年には21.4%に跳ね上がっています。そういえば97年頃、我が家はまだパソコン通信だったけど、2000年には確かにインターネットになってたな、とか…。 松下:私は96年入社なんですけれども、97年の第1回調査以来ずっと関わってきていますので、やはりある意味、自分史みたいなところがあ
日本の医療保険制度は国際的に評価が高かった。平均寿命は世界1位である一方、国民医療費の対GDP(国内総生産)比は経済協力開発機構(OECD)諸国の平均以下、皆保険制度に基づく公平性と医療へのアクセスの容易さも、世界的にとても優れたものであった。しかし高齢化が進展し、国の債務が世界最悪水準に積み上がる中、医療費にも抑制圧力が強く働きはじめた。窓口での自己負担金は年々引き上げられ、保険料の上昇に伴い無保険者が増え始め、医療の現場は様々な歪みや困難に直面し疲弊している。 この状況を改善すべく、内閣に昨年末設置された社会保障制度改革国民会議では、年金・介護・少子化に加え医療が重点的に取り上げられ、この8月に最終報告書が取りまとめられた。限られた時間の中、政治家と利害関係者を入れずに、短期的即効性のある改善案の数々を踏み込んで明記したことは十分に評価したい。しかし他方で、「長期的なビジョン」の重要性
少し前の話になりますが、7月18日付けの日本経済新聞をはじめとする各種のメディアが「ヤマダ電機、個人用3Dプリンター販売」といったニュースを報道しました。目にした読者も多いと思います。 これは、米国3D Systemsの代理店であり、当社のパートナーでもあるイグアス(JBCCホールディングスの100%子会社)がヤマダ電機と一緒に3Dプリンターを一般消費者向けにも販売をしていくというもの。法人向けにも販路を拡大しているという内容でした。 当社もイグアスを支援するという立場から、販売の準備段階から現在に至るまでお手伝いしています。今回はこの話題を中心に、量販店でも販売がスタートした3Dプリンターの状況について報告したいと思います。 ちなみにヤマダ電機では、3Dプリンターの販売を決定したのが7月で、8月初めには販売をスタートするという迅速な対応でした。このスピード経営の凄さを間近で体感し、とても
だから、主役は小湊鐵道ではなくて、「地域」だと思っている。それで、山間部の各駅には、それぞれ地元のオヤジが勝手に集まった(ボランティア)団体が10以上あるわけ。それをとりまとめている連合会もあって、松本靖彦さんという人が連合会長をやっている。 彼らは3カ月に1回ぐらいのペースで集まるんだけど、途中から酒がまわって、最後は言い争いになって終わるんだって。なんで言い争いになると思う? 「お前のところは、ちゃんとできていない」とか怒るんですかね。 石川:いや、逆でね、「お前の所もすごいけど、俺の所の方がもっとすごいぞ」って自慢し合っている。「すげえことやってるぞ」って。 小学生みたいですね。 石川:それで、連合会の「活動の趣旨」を書いてある紙をもらったんですよ。そこに、「小湊鐵道には要求しない」とうたっている。「我々は勝手連なんだ」と。それを見て、「いやあ、ありがたいな」と思いました。 松本さん
2013年7月20日の午後6時24分、北京国際空港の第3ターミナル2階にある国際線到着ロビーの出口Bから10メートルほどの場所で爆発が起こった。車いすに乗った30代の男が手製と見られる爆発物を起爆させたもので、大きな爆発音が響き渡ると、辺り一面は黄色の煙に包まれた。爆発で負傷したのはその男だけで、ほかにけが人いなかった。中国の繁栄を象徴するアジア最大規模の空港で発生した爆発事件は小規模なものであったが、世界中のメディアによって大きく報じられた。 「俺は言いたいことがある」 この事件の現場に居合わせた目撃者たちの証言を総合すると、事件の経緯は以下の通りである。 【1】いつの間にか国際線の到着ロビーに現れた車いすの男は、出口Bから10メートルほどの乗客通行専用区域に陣取ると、出口Bから次々と出てくる国際線の乗客たちに自分の主張を書いた宣伝ビラを配ろうとして、空港の警備員に制止された。すると、男
しかも今週は「これまでに経験のないような大雨」だとか「ただちに命を守る行動をとるよう」などと、その「表現」の激しさも最高潮の高まりを見せています。 気象庁は今後、特別警報を出したり危険度をレベル分けしたりしながら警戒や避難を呼びかけるようになるそうです。 ただ、それだけではどうもうまく行動につなげられそうな気がしません。効果的に行動を促すために必要な条件やアクションが抜けているように感じるのです。 今回は、そんな問題意識を持ちながら、動画からヒントを得つつ、天気予報を通じて効果的に人の行動を促す伝え方について考えてみたいと思います。 ネット動画はアイデアの宝庫。それでは今週もいってみましょう。 カレーのようになっていく防災気象情報 警戒を促されつつも、視聴者としては身動きがとりにくい。それが最近の天気予報を見ていて感じる違和感です。 8月末から「注意報」「警報」に加えて「特別警報」というも
青写真を確認した堀越二郎が自分の机に戻り、着席後身をかがめて床のカバンから計算尺を取り出し、椅子を前に引いて作業を始める一連の動作の1カット。 飛行シーンよりもモブシーンよりも、その作画と動画に戦慄した。 スタジオジブリ最新作、宮崎駿監督の「風立ちぬ」は、ずばぬけた航空技術者であった堀越二郎を、ずばぬけたアニメ職人が描写するという職人映画だ。 もはや宮崎アニメと村上春樹作品は、新作がリリースされれば、人は皆なにがしかの感想なり批評なりを述べなければいけないような雰囲気になっている。誰からいわれたわけでもないのに、おのれの見解と立場を表明しなければいけないような圧力が、少なくとも私のTLには充ち満ちる。かくして多くの人は、他人の顔色をうかがいながら恐る恐るつぶやく。 求められてもいないのに。 いや、批評家や評論家の人はいいのですよ。それが仕事だから。 こう見えても私は本業でマンガ家をやってい
政権交代以来、「アベノミクス」=国の経済政策が大きな注目を集めている。しかし「経済政策」や「経済学」に、納得できない思いや不安を持つ人も多いのではないだろうか。人為的に金利を動かせるのか、といった不審の声や、経済学が「合理的な個人」という架空の存在を置いて考えることから「実際の人間社会には適用できないものだ」といった声もよく上がる。 頼るにせよ、見放すにせよ、我々は一度「経済学」を基礎から学んでみる必要がありそうだ。最近、ミクロ経済学の入門書を著し、いまマクロ編に取りかかっている若手経済学者、駒澤大学准教授の飯田泰之氏に、経済にはド素人のデスクが聞いた。 ――「教養としての経済学」を学びたい人のための新書ということで出された『飯田のミクロ 新しい経済学の教科書1』(光文社新書)。拝読しましたが、正直に申し上げますと……語り口は柔らかいのに、難しいですね、この本。 飯田:はい、難しいです。こ
長らく、日本の農業や地方経済を支えてきた全国農業協同組合中央会。 農協グループ(JA)は種子や肥料、農薬やトラクターなどの農業資材を農家に売り、農家から集荷した作物の販売も請け負う。さらに、大手資本や金融機関が進出しない地域で、農家を相手に資金を貸し出す――。農協が果たしてきた役割は非常に幅広い。だからこそ、農家は農協に任せておけば安心という持ちつ持たれつの関係が構築された。 農協に代わってサービスを始めようにも、金融から販売、流通などすべての機能を代行することは難しい。参入してもビジネスとして成功せずに撤退する企業も少なくなかった。 だが、農協の独占による弊害も出ている。「すべてやってくれるのはありがたいが、いかんせん手数料が高すぎる」。こう漏らすのは岩手県で大規模な生産法人を経営する男性だ。 この男性いわく、今年の大豆の販売価格は1俵当たり7000円だった。ところが、農協を通すと450
クリストファー・ロイド氏(Christopher Lloyd) 1968年英国生まれ。英ケンブリッジ大学で中世史を学んで91年に学位を取得、その後サンデータイムス紙の記者となる。新聞では科学と工学を担当し、94年には「今年の科学ジャーナリスト」として表彰される。96年、英タイムズ紙、サンデータイムス紙などの発行元であるニューズ・インターナショナルのマネジメントに転じ、同年サンデータイムス紙の初のウェブ版を立ち上げた。その後ベンチャーのインターネットメディアビジネスなどに携わった後2000年、オックスフォードにある教育ソフトウエア出版社に経営者として転職、売上をほぼゼロから300万ポンドにまで成長させる。2006年に退社、妻と自宅で教育していた2人の子供と共に欧州中を旅しながら『What on earth happened?』の執筆を思いつき、2008年に発売。2010年、出版社What o
書きやすく、わかりやすくするために候補者名の漢字を平仮名に変えている、その人数が多ければ多いほど馬鹿っぽい政党に見えませんか。私は見えます。 この日経ビジネスオンラインの私のコラムは、とりあげる対象というか、通しのテーマがはっきりと決まっているわけではない。個人的なイベントについて記すこともあれば、いわゆる時事ネタを取りあげることもある。 時事ネタといえば、直近の世の中の大ネタは終わったばかりの参院選だ。 ……のはずだが、終わってまだ3日と経ってないというのに、もはやTVのヘッドラインは、ロイヤルベイビーと、広島と山口の殺人事件、それにゲリラ豪雨だ。 最近「ゲリ豪」と略している文面を見たが、略す文字数が残った文字数より少ない略語については、我々はもっと声をあげるべきではないのか。 すまない。人のことはいえない。 なんというか、私自身もあまり参院選のことを書く気が起こらない。 いや、選挙には
オバマ政権は、6月25日に「気候行動計画」を発表した。2020年までに温室効果ガスを2005年対比で17%削減する目標を堅持し、そのために就任第一期間で倍増させた再生可能エネルギーをさらに倍増するなどの施策をとる。 米国でも再エネの主役は風力であり、毎年3割近い伸びを続け、昨年末では6000万kWを超えた。有力な電源として市民権を得つつある。膨大な潜在量がある、コストが低い、CO2を出さない、産業への波及効果が大きいなどの期待が高い。 しかし、今後も普及し続けていくためには、風車が抱える課題を解明し克服していく必要がある。懸念材料の1つとして、騒音、影、景観などの問題がある。気分が悪い、眠れないと訴える住民が少数だが存在し、それを公的に訴える事例が出てきている。 風車の存在、特にその騒音と気分がすぐれないことをセットで考える風潮も生じている。日本でも最近話題になってきているが、普及が先行し
対中傾斜に「ちょっと待てよ」 A:鈴置さんの日経ビジネスオンラインの記事を毎回読んでいます。「韓国が中国にどんどん引き寄せられる」との視点で書かれた一連の記事はとても面白い。実際にその通りですし、にもかかわらず、韓国の新聞はこれほどはっきりと書かないからです。 ただ、ソウルの空気の微妙な変化にも留意すべきと思います。6月末の訪中時に朴槿恵大統領は大歓迎されました。それを見て韓国人は有頂天になりました。 でも時間がたつにつれ、朴槿恵政権の対中傾斜に「ちょっと待てよ」というムードが生まれたのです。まず、朴槿恵政権と距離を置く東亜日報が、過度の対中接近を警戒する記事をいくつか載せました。 鈴置:代表的な記事が7月1日付の、北京特派員の書いたコラム 「韓中関係は易交難深――交わりを始めるのは簡単だが深めるのは難しい」ですね。 「韓中首脳会談で我が国は中国の掌の上に乗ってしまったのではないか」との
中国が韓国を引力圏に取り込んだ。中韓首脳会談で、韓国は安全保障と金融という国家の2つの命綱を中国に委ねた。韓国が中国の衛星軌道から逃れる術はもう、ないように見える。 「北」名指しの非難には失敗 朴槿恵大統領は6月27日と28日の両日、北京で習近平・国家主席と会談した。韓国の最大の目的は北朝鮮に対し「中国は『北』より『南』を大事にし始めたぞ」と見せつけることだった。 成功すれば、北朝鮮のテロや挑発の可能性を減らせる。自国民に対しても「韓国の国際的地位を大いに上げた」と喧伝できる。 北朝鮮を横目ににらんでの「中国取り込み作戦」は相当程度、成功した。両首脳が27日に交わした共同声明には、焦点の北朝鮮の核開発に関して以下のような文言が入った。 ・(中韓)両国は核兵器開発が朝鮮半島を含む東アジアと世界の平和と安全に対し深刻な脅威となる点で認識を同じくした。 ・両国は朝鮮半島の非核化実現と、朝鮮半島の
今年の梅雨入りは例年よりもかなり早かった。梅雨が明けると本格的な暑さが到来し、クールビズファッションが花盛りとなる。 近年、さらにパワーアップしたスーパークールビズの影響から、カジュアルダウン化が進み、かなり堅い会社でも上着とネクタイの着用が免除されるようになった。クールビズ期間は企業によって多少異なるが、もっとも期間が長い企業で5月~10月末。この半年間、日本には上着を着ずにシャツ一枚で仕事をするビジネスマンが増えることになる。特に7月、8月の真夏に上着を着用しているビジネスマンは、慣例的なものも含めて会社の決まりがよほど強いか、自分の好みかのどちらかだろう。 今年の4月ごろ、シャツの「胸ポケット論争」なるものがあった。発端はメーカーズシャツ鎌倉が「シャツの胸ポケットを廃止します」と宣言したことである。正確に言うと、メーカーズシャツ鎌倉が今年以降製造するスリムフィットシャツには胸ポケット
この連載では、私たちの日常生活に身近なのにあまり話題にならない業界の構造分析を紹介する。著者・上山信一(慶應義塾大学総合政策学部教授)は元マッキンゼーのコンサルタント(共同経営者)である。今回の連載は、湘南藤沢キャンパス(SFC)の上山ゼミ(経営戦略)で、学生たちが日々、額に汗を流して調査・研究した結果を下地にしている。私たちのゼミでは、この2、3年でおよそ30の業界を見てきた。その中から、ビジネスパーソンにとって新しい発見となるような事例を選んで紹介したい。 まず、最初に筆者から質問をさせていただきたい。読者は今朝、何を召し上がっただろうか。そして、どこで。 95%が自宅で朝食をとり、4分の3は15分未満で終わる 従来、食品産業は、肉・魚・野菜など、食材の切り口、あるいは、外食・中食・内食など、<食事の場×調理者>の切り口から分析されることが多かった。しかし、<朝食・昼食・夕食>というタ
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