「あぁ、普通の朝ドラが帰ってきたな」という感慨を持った人が多いのではないか。 『カムカムエヴリバディ』から『ちむどんどん』という、様々な意味でにぎやかな反響のあった2作を経て、「普通の朝ドラ」という世界に帰ってきた感じを受けるのだ――『舞いあがれ!』には。 というわけで、今回の「月間エンタメ大賞」は、この新作朝ドラが、スムーズな離陸に成功した要因を見ていきたいと思う。舞台となる東大阪出身の評論家としての視点も添えながら――。 「舞いあがれ!」のケレン味のない脚本 公式サイトに書かれている番組紹介。どこをどう突っついても「普通の朝ドラ」のエキスが飛び出してきそうな気配である。変化球が続いてきたので、ここらで一度、ストレートを投げておくかという配球心理が見えてくるような一文だ。 スムーズな離陸に成功した理由として、まず挙げられるのは、この一文に象徴される、ケレン味のない脚本である。 前回記事『