こちらは『富山は日本のスウェーデン』(井手英策)で紹介されていた、2010年の朝日新聞のスウェーデンの小学校教員からの投書であり、当時、注目を集めたという。さてこの投書のスウェーデンへの「価値づけ」はどこからきているのでしょうか? 北欧礼賛への反発 もちろんそれは、当時の日本でのスウェーデンを持ち上げる風潮でしょう。「約束の地」と日本で賞賛されていた国への、一面的な価値づけに現地の人が違和感を持ったことによる反発とみることができます。北欧を無条件に褒め称える「北欧礼賛主義」と、それに反対するアンチ北欧礼賛主義の構図が見え隠れします。 人間の本能からみる北欧礼賛への反発 一連の応酬はハンス・ロスリングのFactfullnessで紹介している、人間の事実の認識を歪める「本能」に依拠しているのでは?と考えることもできます。 例えば、同書で紹介している10種類の人間の本能のいくつかを、北欧礼賛主義