居酒屋で注文をするのがものすごく苦手だ。 がやがやと盛り上がる店内で注文をしようとすると、たいていうまくいかない。声が向こうまで届かないのだ。 なのでいつもは近くの声の大きな人に注文を頼むことにしていて、たまーに挑戦してみようと思うと、店員さんには良くて「Pardon?」という顔をされ、悪いとスル―される。 おれの人生、これでいいのか? (text by 藤原 浩一) 弱い僕がきらいだ この間、飲み会があったときもそうだった。友人に「何飲む?」と訊ねられながらメニューを渡され、しばし考えやはり生ビールかな、と決める。それはいい。 そこで友人に「じゃあ生ビール」と答えたら「え、何で俺に言うの?」って思われるかもしれない。かと言って「決まった」とだけ言うと、店員さんが注文を取りに来た時に伝えられるか自信がない。 ジレンマである。