ブックマーク / d.hatena.ne.jp/hana53 (6)

  • 女と怪物、怪物の女 - 帰ってきたハナログ

    映画 『母なる証明』は『殺人の追憶』以上に「ホラー」らしい「ホラー」なんだろうと思う。というか、映画の『リング』もそんな感じだったが、女性が中心に来て探偵役を引き受けることが、「ミステリー」が「ホラー」に転化するきっかけを作る、のかもしれない。名探偵の「真実」を突きとめる合理的思考能力と、そこで突きとめた「真実」を正確かつ適切にギャラリーに説明する卓越した言語能力は、基的には「男性的」と想定される資質であるがゆえに、女性には「そぐわない」ものとして付与されにくい。*1そして「母」は謎解きと説明を成し遂げうる論理と権威をそなえた言葉とは無縁のまま、荒涼たる意味の焼け跡にて、ひたすらユラユラと踊り続けるばかり―、と。 女性主人公とホラーの親和性について、『恐怖の臨界』の著者マーク・ジャンコヴィックはかなり肯定的な見解を示している、ように読める。 ……くりかえし女性を犠牲者の立場においているか

  • 『宮本武蔵』(1944) - 帰ってきたハナログ

    溝口健二が戦争末期に撮った評判の悪いやつ。「撃ちてしやまむ」のタイトルで始まる「情報局選定国民映画」。血の通った生身の人間らしい登場人物が一人も出てこなくて、「総力戦スローガン再生装置」「神妙なうなずき役」「斬られ役」の三種類しかいない…… にもかかわらずなんかミョーに面白いんだこれが たとえば『海賊旗吹っ飛ぶ』みたいに「やたらハイテンションの狂ったプロパガンダ映画」として面白いんじゃなくて、つまらないお話とつまらない説教が低血圧にダラダラと続くだけなのに、なんだかミョーに面白いのは、画面に漂う不思議な艶のなせる業でしょうか。 『宮武蔵』は、とにかく黒髪の映し方に瑞々しい色気があって良いです。江戸時代初期なので、黒髪を束ねただけの髪型の人が多いのですが、そこはかとないシャンプーの香りの漂いそうなサラサラした黒髪が流れたりなびいたり乱れたりするショットが印象的です。吉岡一門との決闘*1を終

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    trash2 2009/11/11
    溝口健二の映画.
  • リンダ・ウィリアムズ『ハードコア』1999年版エピローグ - 帰ってきたハナログ

  • リンダ・ウィリアムズ『ハードコア』読了 - 帰ってきたハナログ

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    trash2 2009/09/14
    Film Bodies邦訳でないのかしら…。
  • 『日本映画史叢書10 映画と戦争 撮る欲望/見る欲望』 - 帰ってきたハナログ

    ご献いただきました。ちょうど授業で「戦争映画論」やろうと思っていたところなので、まさに神の恵みという感があります。ありがとうございました。 ざっと見たところ、倉沢愛子・板倉史明両氏の、いずれも日映画史のミッシング・リンクにあたる領域について、浩瀚な二次資料を精査した上で、簡にして要を得た史的記述をおこなっている「宣伝メディアとしての映画―日軍占領下のジャワにおける映画制作と上映」(倉沢)「米国政府による日映画の接収と軍事利用」(板倉)が、研究論文として非常に価値の高いものと思いました。あと、少年雑誌のグラビアや『宇宙戦艦ヤマト』にまで目配りしつつ、戦後の映像メディアにおける「戦艦大和」表象の系譜を辿った佐野明子さんの「戦艦大和イメージの転回」が、個人的には示唆を受けるところ大でした。 それにしても、中村秀之「特攻隊表象論」(倉沢愛子他編『岩波講座 アジア・太平洋戦争5 戦場の諸相』

  • ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 - 帰ってきたハナログ

    『序』は未見。旧作の「取り返しようのない不快な結末」の呪いを、「反復可能性」を前面に出すことで解呪する試み、だったりするのかもしれません。その分、旧作にみなぎる緊張感の重要な源泉のひとつだった、「私がいかんともしがたく愛着してしまうこのキャラクターが、決定的なダメージを負わされ、滅ぼされてしまうかもしれない」という感覚がだいぶ稀薄になったのは是か非か。この世界を創造した神は、もはやただ一度きりの創造のみで事足れりとはせず、「不断に創造し直し、創造し続ける」つもりになっているように見受けられますし。 「同一の別人」としてのキャラクター、反復の中に見出される微妙な差異に拠った娯楽性、明快な因果的説明よりも「不可思議さ」を重視する傾向、無力・無責任・無知と受動性の肯定、等々、この劇場版は非常に『千夜一夜物語』的なエンターテインメントであるような気がします。たまたま青柳悦子先生の『デリダで読む『千

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