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ブックマーク / www.shenmacro.com (6)

  • 株式と債券の逆相関復帰と円キャリーの幻影 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍

    パンデミック後のインフレレジーム パンデミック後の投資環境はグローバル金融危機からパンデミックにかけての15年間と比較して様々なパラダイムシフトが見られたが、中でも最も大きかったのはインフレ・レジームへのシフトだろう。2008年のグローバル金融危機の後、先進諸国で中央銀行のインフレ目標未達が常態化しており、どちらかというとデフレーショナリーな経済環境が続いた。これは景気が減速すれば中央銀行は金融緩和で対処することが可能であることを意味しており、その環境下では株式と長期国債は長い逆相関が続き――60 :40でも50 :50でもよいが――株式と長期国債を同時に保有すればそれなりに安定したリターンを獲得することができた。しかし、2022年にインフレ・レジームが始動し、Fedの金融政策がインフレ目標の厳しい制約を受けるようになると、債券と株式の逆相関は喪われた。多少リスクオフになったところで、Fe

    株式と債券の逆相関復帰と円キャリーの幻影 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍
  • 米国の賃金インフレは何の疑念もなく減速 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍

    雇用者数が再び跳ねた「2024年の春」 米国の雇用にブログが注目しなくなって久しい。2023年中は新規雇用者数をNFP(Non-Farm Payroll、米国非農業部門雇用者数)で見てもADP雇用統計で見ても金融引締めの影響で低調さが続いた。しかし2024年春になるとどちらも盛り返しており、元々遠かった雇用の緩みがもたらす景気減速への望みが更に遠ざかった形になる。「2024年春の改善」は他の米国の指標とシンクロしたものであり、これだけ雇用が堅調だと労働市場の逼迫の解消は遠ざかり、賃金インフレが再燃して「Fedは早期に利下げできないのではないか」という懸念が再び持ち上がった。 JOLTSと失業率 もちろんそれは勘違いであり、雇用者数以外のどの指標を見てもインフレーショナリーにはなっていない。絶対水準はまだまだ低いものの、失業率は淡々と上昇している。正社員になりたいのにパートに甘んじている労

    米国の賃金インフレは何の疑念もなく減速 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍
  • 米国経済に中国が与え得る影響の論文 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍

    パンデミック後の中国経済の不確実性の捉え方は極めて難しい課題になっている。チャイナショックの時と違って、中国がデフレーションに転落したという事象は先進諸国にマクロなインパクトをほとんどもたらさなかった。中国からのデフレ輸出や不況輸出も目立って観測されておらず、先進諸国の経済を分析する際にどのように中国ストーリーを添加すればいいのか手探りになっている。ブログなどは「影響は非連続的に発現するだろう」と言葉を弄しているが、とにかく「中国は案外デフレを輸出しない」は2023年後半以降のマクロ予想の精度を問う試験の中で重要な設問だったに違いない。 中国経済の動きが先進諸国に与える影響について何かオーソライズされた見方はないものか。NY Fedの調査部門のエコノミスト達が執筆しているブログ"Liberty Street Economics"が中国経済の予想外の回復とクラッシュが2年程度のスパンで米国

    米国経済に中国が与え得る影響の論文 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍
  • 全人代で幻に終わる中国の財政拡張期待 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍

    中国経済については昨年厳しめの記事を連発してから力尽きていたが、この間に一度財政拡張の期待というものが盛り上がっていた。2023年10月24日に中国の全人代(国会みたいなもの)常務委員会は財政赤字の拡大を可決した。前回の記事では「確かに理論的には春の全人代会期以外でも2ヶ月に一回開かれる全人代常務委員会(次回は10/20 -24)で補正予算を組むことは可能であるが、ある程度の埋蔵金的な資金を使える可能性はあるものの、財政赤字拡大まで踏み込む可能性は高くない。2023年暮れにあえて財政拡張を行うとすれば、それは2023年の成長目標の5%達成が危うくなった時である。しかし、2023年はゼロコロナ政策からのリオープン効果があるのでさすがに5%成長は余裕である」とスケジュールまで調べてあったにもかかわらず、まさか当に財政赤字が年末に引き上げられるとは思っていなかった。全人代が開かれる春まで待てず

    全人代で幻に終わる中国の財政拡張期待 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍
  • 2月分で判明する新NISAキャピタルフライトの実像 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍

    新NISAのインパクトの定点観測。新NISAが始まって1ヶ月余りで既に1兆8千億円以上の資金が流入した。日経の取材記事では投資信託と個別株に分けて紹介しており、海外資産と日株という切り口では切っていない。1兆8千億円のうち約1兆円が投資信託、残りの約8,000億円を個別株になっている。個別株は証券会社の窓口チャネルが強いということもあり高配当株を中心に日株が健闘しており、トップ10銘柄はシェアは低いものの全て日株が占めている。そういう意味では、1兆8千億円のうち過半数は海外資産に向かったと確信できるものの、日株も案外健闘していると言えるだろう。もっとも新NISAでは個別株は成長投資枠でしか投資できない。積立て投資枠のフローは海外株が8割以上を占めると思われる。投資信託1兆円のうちトップ10投信が全て海外株投信であり、それだけで8,000億円を占めるからである。ブログが唱えてきた年

    2月分で判明する新NISAキャピタルフライトの実像 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍
  • 新NISAのアノマリーと円安効果が世間でも話題に : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍

    ブログが昨年末に取り上げた新NISA開始に伴う海外投資についての考察が世間にも広がっている。日経新聞も新NISAが招く円安圧力を取り上げた。その記事内で「(松井証券の)窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは"これを前提にすると年間5兆円規模の円売り・外貨買い需要が発生し、これまでより年2兆〜2.5兆円ほど円売りが増える可能性がある"と指摘」しているが、これはブログが「年間5兆円の海外投資フローを想定するのはかなりフェアではないか」としていた数字とぴったり一致する。その後この金額を日の経常収支と比較する発想も前回の記事と同様である。ピクテ・ジャパンの大槻奈那シニア・フェローは積立てフローを「為替の相場観とは関係なく機械的なドル買い・円売りを生むため、岩盤的なドル買い需要になる」と表現している。それに対する異議は少ないだろう。実際、我々が多くの識者から今年はドル安円高が進むとロジカルに

    新NISAのアノマリーと円安効果が世間でも話題に : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍
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