目も鼻も口も眉毛もどこも、どの角度からも自分には似ていないと思っていた娘が成長するにつれて、もしかしたら昔の自分の顔に似ているのではないかと思えはじめてきていた――正月に実家を訪れたときに、その思いが正しいのかどうか確かめようと古いアルバムをタンスの奥から出してきて、持ち帰った。布張りの表紙と背表紙とに挟まれたアルバムは重く、車の助手席に乗せると揺れてもカーブを曲がっても動かなかった。ミカンを食べながら、果汁で汚さないよう気をつけて表紙をめくると、小さな足形があった。いまの娘の足よりもはるかに小さな足。順番にめくっていくと、娘にそっくりな写真もあれば、あまり似ていない写真もあり、似ている、似ていないと妻と娘と笑って話しながら眺めた。2歳を過ぎて弟が生まれ、さらにめくって一枚の写真をみたとき、おそろしくなった。チ、チ、ババチ、チ、チ、ババチ…… 明るい日差しを受けた芝生に寝転んだ父親の上に弟