月面基地はその大部分が地下に埋まっており、また、外気圧との関係で完全、密封されている。 気温変化に乏しいことと低重力も関係して、空気は滞留を起こす。 これが実はかなりの問題で、湿気なども一箇所にとどまり続けてカビや細菌なんかの増殖を招いたりして健康に悪い。 と言うわけで月面基地には大気循環システムという物が設置されている。 簡単にいえばA地点で空気を回収し、紫外線消毒などを行った後にB地点で再度放出する。 トイレや家畜飼育場などの近くで負圧を掛け、それ以外の生活エリアから風が流れ込む。 設計段階ではこれで空気の流れは十分と言う判断だったのであるが、実験に伴う密室の建設や、病室の設置、プライベートエリアを仕切るカーテンなどによって風は弱まり、空気の滞留が問題になってしまった。 まあ、トイレなどの吸入口に近い箇所においては必要な負圧が発生しているのであるが、それでも密閉空間での病気の発生は最も