イシン・ラルサ時代ウル第3王朝の後継となったのがイシン王朝である。イシン王朝はウル第3王朝最後の王イッビ・シンに仕えたマリ人の将軍イシュビ・エッラがウル第3王朝末期に独立して建てた王朝で、ウル第3王朝を滅ぼしたエラムを撃退したことで信望を集め、以後安定した王朝を築いた。 ウル第3王朝末期、多くの異民族がメソポタミアに侵攻したがその中のひとつセム系アムル人が建てた王朝がラルサ王朝である。「ラルサ王朝表」には初代の王としてナプラヌムという名が挙げられるが、ウル第3王朝時代に建国されたことになり、これは疑問が呈されている。(注1)最初に碑文史料を残したザバヤ王(在位:前1941~33)がラルサ王朝を創始したと考えられている。 このイシン王朝とラルサ王朝がメソポタミア南部の覇権を争った時代をイシン・ラルサ時代と呼んだ。両王朝の抗争は前1794年、ラルサ王リム・シン(在位:前1822~1763)がイ