農水省や同省の関連団体の統計によると、昨年4月から12月の9カ月間の生乳生産量は、約549万トンと前年同期比で2・0%減った。腐敗しやすく鮮度が命の生乳はまず、取引価格の高い牛乳(1キロ当たり115円)に優先的に使われる。日持ちがして取引価格の安いバター(同70円)の生産は後回しになり、その結果、同期間のバターの生産量は4万4000トンと同7・5%減の品薄になった。これが昨年秋から顕在化したバター不足の背景だ。 なぜ生乳の生産量が減っているのか。最大の要因は日本の乳牛頭数の減少にある。同省の畜産統計をみると、日本の乳牛数は1985年の約211万頭をピークに右肩下がりで減少を続け、1年前の2014年2月は前年同月比2%減の約140万頭と過去最低になっている。 酪農家戸数の減少も見逃せない。同省によれば、いま全国で約1万8000戸にとどまる。高齢化が進み、採算がとれない小規模農家がどんどん