池上:本川先生は、高校生の頃、「役に立たないことをやろう」と思って、生物学を志したと伺っていますが、なぜ、そう思ったんですか。 本川:私は1948年生まれですから、いわゆる団塊の世代です。高度成長期まっただ中に育ちました。高校1年の時に東京オリンピック。焼け跡から豊かな時代への変化を、身をもって感じていました。 そういうイケイケどんどんの世代ですから、理系で一番人気はすぐに仕事につながる工学系です。算数ができる子どもはみんな工学部へ行きました。当時、東工大も定員が3倍くらいにどーんと増えたはずです。 算数ができると、“役に立つ”人間になれた時代 池上:私も先生より2つ下で同じ光景を見て育っていますから、時代の空気はよくわかります。アメリカとソ連が対立する東西冷戦時代で、1957年、ソ連がアメリカに先駆けて人工衛星スプートニクの打ち上げに成功した「スプートニク・ショック」があったこともあり、
![優等生が陥る「科学のワナ」:日経ビジネスオンライン](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/05f492a9ba706b05ca8fd61b1840b099fb59fdc9/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fbusiness.nikkeibp.co.jp%2Fimages%2Fn%2Fnbo%2F2011%2Fcommon%2Fnbologo_ogimage.png)