つながり 社会的ネットワークの驚くべき力 作者: ニコラス・A・クリスタキス,ジェイムズ・H・ファウラー,鬼澤忍出版社/メーカー: 講談社発売日: 2010/07/22メディア: 単行本購入: 19人 クリック: 277回この商品を含むブログ (72件) を見る 本書は「肥満は伝染性である」という研究で有名な,医学者であり社会学者であるクリスタキスと政治学者ファウラーによる,社会的ネットワーク全般についての一般向けの本である.肥満の伝染の研究は全米の話題になったものだが,その統計分析の適切性について批判論文がでていて,さらにクリスタキスたちも反論を公表している.これらについては一通り眼を通してみたが,私の印象は「肥満は伝染してもおかしくはないし,おそらく伝染するだろうが,おそらくその効果は彼等が主張するよりずっと弱いものだろう.少なくとも彼等の研究で伝染性が統計的に示されたとはいえないだろ
進化論はなぜ哲学の問題になるのか―生物学の哲学の現在“いま” 作者: 松本俊吉出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 2010/07/13メディア: 単行本購入: 11人 クリック: 190回この商品を含むブログ (27件) を見る 本書は進化生物学*1 にかかる科学哲学についてのアンソロジーである.執筆者には若手科学哲学者たちが名を連ね,それぞれの考察をまとめている.全部で200ページ強の小振りの本になっている. 冒頭第1章は松本俊吉による「自然選択の単位の問題」*2 基本的には論争史を簡単に紹介するというスタンスになっている.まず遺伝子淘汰説の問題としてジョージ・ウィリアムズとドーキンスの説明についてのソーバーたちの議論,それに対するステレルニーたちの議論を紹介する.この部分では,キッチャーの整理として,ドーキンスの主張は当初の「一元論的対立遺伝子淘汰主義」から後に「多元的対立遺伝子淘汰
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