文化相対主義(cultural relativism)とは他者に対して、自己とは異なった存在であることを容認し、自分たちの価値や見解(=自文化)にお いて問われていないことがらを問い直し、他者に対する理解と対話をめざす倫理的態度のことをいう。 この定義は、文化相対主義をそのような認識論的立場あるいは信条として、我々は受け入れるべきだ という観点からなされたものである。また、伝統的にアメリカや日本の文化人類学の分 野の中に広く受け入れられているものである。 というのは、文化相対主義の定義は、本質的に矛盾をはらんだものであるこということを正直に述べ ておかねばならない。20世紀の後半になって、文化相対主義への批判やバッシング、はては理論としての無効性まで主張するものが現れた——それらの多くは 文化相対主義の論理的矛盾や限界をあらかじめ先取りしておいて批判をするという不当なものである——が、これ