経営者にとって、情報システムは頭痛の種になりがちだ。業務に必須だが投資に見合った効果が出るとは限らない。ほかの設備投資に比べて専門的で難解でもある。 野村総合研究所で約20年間勤務した後に、人材派遣大手スタッフサービスのCIO(最高情報責任者)を務め急成長を支えた著者が、ベンダーとユーザー両方の視点から、“システム屋”の思考回路と、上手な付き合い方を説く。 前回は、「偽装請負」を含むIT(情報技術)業界の多重取引構造について指摘しました。もう少し具体的に見てみましょう。 システム開発に関する契約は、ユーザー企業と元請け企業の間でも、元請け企業と下請け企業の間でも、請負契約であることがほとんどです。つまり委託と受託の関係です。作業範囲や成果物を明確にして、「その範囲をやってもらう」「○○を納品してもらう」といった主旨の契約です。 しかし見積書などをよく見てみると、「○○作業××人月分」といっ
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