昔から多くの政治家や政府関係者が回答に窮すると頻繁に使用する常套句として,「仮定の質問には答えられない」というものがあります。最近では,日本大学アメリカンフットボール部のタックル問題での前監督らの記者会見でも,司会者がこの常套句を使っていました。 しかし,なぜ仮定の質問に答えられない(答えない)のか,その理由(正当性)はよく分かりません。別に,仮定の質問というだけで,それが論理的におかしいわけでも,回答不能であるわけでも,議論のルールとして禁止されているわけでもありません。それにもかかわらず,多くの野党議員や記者は,「仮定の質問には答えられない」と返答されると,それが当然であるかの如く,簡単に引き下がってしまいます。それが不思議でなりません。 「事実の問題」と「見解の問題」との違い このようなことが平然とまかり通っているのは,質問者側が「事実の問題」と「見解の問題」との違いを明確に意識して