本来は「疑似」です。 「疑」は“うたがう”ではなく“まぎらわしい”です。 『広辞苑』『岩波国語辞典』各第一版には「疑似」しか載せていませんでした。 日本の一部に「模擬」などとの混同からか、「擬似」と書く人が存在しました。 小学館の『日本国語大辞典』第一版で(今手許に現物がないので記憶によって書きます)、 見出し表記に【疑似、擬似】を同一項目にまとめ、「擬似」の用例として服部南郭(不正確です)の文「…ことごとく擬似する能はず」を引いていました。 しかし、これは「疑似赤痢」「疑似体験」というときの「疑似」とは別の語で、一つの項目にしたのは適切ではなかったと考えます。 これがお墨付きになったものか、その後に出る辞書は両方を載せるようになりました。 それも『広辞苑』は【疑似、擬似】でしたが、『岩波国語辞典』は【擬似、疑似】の順にしました。 これでは“「擬似」が正