松岡正剛氏じきじきにオススメいただいた劇薬小説。業のおそろしさを強調されていたが、わたしはむしろ、業のおぞましさ・ひたむきさに呑まれた。 一度に読んだ、そして激しい、ほとんど飢えたような欲望が一度にわたしを襲った。自分自身を突き落とすような「私」には、どうしても慣れ得ない。職も住もうっちゃって、転々と堕ちてゆく主人公は、納得ずく&身を任せで浮遊する。考えた上でやってることは、わかる。なぜなら、一度はわたしも考えたから。わたしに限らず、この主人公「私」が垂れ流す自壊思考は、誰しも「思った」ことはあるだろう。 その日その日、尻の穴から油が流れていた。私が私であることが不快であった。私を私たらしめているものへの憎悪、これはまるで他人との確執に似ていた ただ、本気で実行することはないはずである奈落への跳落を果たしてしまう。今風なら大二病だ。勤め人になってから自分探しすると大ヤケドする例ともいえる。
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