2019年1月14日のブックマーク (1件)

  • 『冬の物語』イサク・ディネセン|世界に爪痕を残す - ボヘミアの海岸線

    ペーターはなんとなく察しをつけた。不滅という言葉は、こういう状態のことを言うのだろう。もう、これから先も、過去のことも、考えるのをやめた。この時間だけが彼をとらえた。 ーーイサク・ディネセン『冬の物語』 世界にかすかな爪痕を残す 「あなたはヨーロッパの冬の絵が好きなのね」と母から言われたことがある。そうかもしれない。ノルウェー・オスロのムンク美術館を訪れた時に買った絵葉書は、「叫び」ではなく、冬の夜のものだった。ピーター・ブリューゲルの絵でいちばん好きなのは「雪中の狩人」だ。 寒さは嫌いだが、緯度が高い地域で見られる、氷河めいた冬の青さは好きだ。ヨーロッパに住んでいた時、あまりに長い冬を呪ったものだが(9月から4月まで真冬でコートが手放せなかった)、あの青く透きとおった空気と空と海には、なんども心を慰められた。ディネセン『冬の物語』を読むと、あの青い冬の空気を思い出す。 冬の物語 作者:

    『冬の物語』イサク・ディネセン|世界に爪痕を残す - ボヘミアの海岸線