羽田発伊丹行きの日航ジャンボ機が群馬県上野村の御巣鷹の尾根に墜落してから12日で32年。作家の横山秀夫さんがこの事故に向き合った「クライマーズ・ハイ」は、「半落ち」「64」と並ぶ代表作だ。横山さんに、事故への思いと執筆の背景を聞いた。 ――520人が亡くなった日航ジャンボ機墜落事故から今年で32年になります。 この時期になると今も気分が沈みます。テレビで特別番組があってもリアルタイムで見る気になれなくて。録画はするんですけどね……。 ――当時、最も御巣鷹の現場に通った記者だと聞いています。 地元紙ですから、事故直後から2カ月近く、ほぼ毎日登りました。記者を辞めたあとになって、出版社の人から「御巣鷹の現場の惨状をノンフィクションで書かないか」と声をかけられたことがありました。引き受けましたよ。当時は作家デビューをしそこね、マンガの原作もうまくいかず、経済的に困窮していました。あさましい話です
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