感染症の治療に欠かせない抗生物質。昨年のノーベル医学生理学賞を受賞した大村智さん(80)の貢献でも注目されたが、大半の抗生物質が効かない多剤耐性菌が近年、各国で勢いを増し、医療現場で危機感が高まっている。なぜ耐性菌は生まれるのか。【千葉紀和】 「治るはずの病気が治らない。治療に使える武器がなくなる寸前だ」。東京医科大の松本哲哉教授(53)=微生物学=は厳しい現状を訴える。 病原菌を殺したり増殖を抑えたりする働きがある抗生物質。微生物が生存競争の中で生み出す有機化合物を利用した薬剤で、青カビから発見されたペニシリンが有名だ。多くの人命を救ってきたが、使い続けると菌はやがて順応するようになる。複数の種類の抗生物質が効かないのが「多剤耐性菌」だ。 この記事は有料記事です。 残り780文字(全文1105文字)
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