前作『白衣性恋愛症候群』からシナリオ担当が代わり(向坂氷緒)、シナリオゲームへの歩み寄りが見られる一方、一番言いたいことが何なのか伝わってこない点はまったく解決していない。散漫とっちらかっぷりはむしろ悪化している。 まず作品全体の構成について。出自が不明な主人公がヒロインとの距離を縮めていくうちに彼女の心の裡と多層的な謎が明らかになる、という構成は一般的なシナリオゲームのそれに近く、前作に比べて作品を通しての読み応えは微増していた。一方で、タイトルにもある白衣……看護については真面目に向き合うのはほんの序盤だけで、前作ではいくらか冗長ですらあった描写はなおざりもいいところになっている。シナリオの比重は前述した過去の謎の解明に移っているのだが、謎の研究施設、謎の人体実験、謎の超能力、謎の人格憑依といった設定はかなり突拍子がなく、バックボーンは説得力があんまりない。一つまた一つと謎が解けていく
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