「うちのドライバー、バカばっかりだからさ」──謙そんと言うには、あまりに露骨な言葉である。ある運送会社社長が発したこの言葉の背後には、運送業界が抱える大きな課題が隠れている。 かつて筆者(坂田良平、物流ジャーナリスト)は、配車システムの営業として、1年半かけて3000社以上の物流企業、荷主企業を訪問した。 「うちのドライバー、ばかばっかりだからさ」──これは、訪問した先の運送会社社長や役員から言われた言葉である。 私は売り込みで訪問しているわけだから、もちろん断るための方便でもあるのだろう。「だから、あなたの売り込もうとしている高度なシステムは、とてもうちのドライバーは使いこなせませんよ」と言葉は続くのだ。 この言葉を発してきたのは、1社だけではない。数十社に及ぶ。 「いやいや、社長と話しているとすごく頭の良い方に思えるのですが。そんな社長のもとで働く社員さんたちが、社長の言うような方々だ