登美彦氏は『聖なる怠け者の冒険』が京都本大賞になったと聞いた。 しかしながら、登美彦氏が書いているのは偽京都である。 「ひょっとすると偽京都本大賞を貰ったのでは?」 「狸たちが授与しているのでは?」 登美彦氏はそのように考えて本気にしなかった。 よかろう、彼らがその気ならば期待にこたえて、偽森見登美彦を授賞式へ送りこむべきであろう。偽森見登美彦が偽授賞式で偽京都本大賞を貰うならば八方毛深く、丸くおさまる。登美彦氏はそうするつもりだったのだが、有頂天家族第二部の書き直しに忙しくて、適当な影武者を見つける暇がなかった。 「ちぇっ、しょうがないなあ。狸どもめ!」 そうして登美彦氏が化かされる覚悟で出かけていくと、ぽんぽこっぽい人たちが大勢いて狸気濛々としていたので、登美彦氏は「ほら見ろ。やはりな」と思った。しかし大賞はホンモノであった。狸っぽいのは、ぽんぽこ仮面のお面をつけた書店員の方々だったの
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