ゲイをカミングアウトせずに働く男性。「人に会うことが多い営業職は、特に大変。でも嫌いな仕事じゃないし、積んできたキャリアもあるから、変えるつもりはない」=都内で 【吉川啓一郎】「で、結婚しないの?」 営業マンとして取引先の担当者を接待する、夜の酒席。何げなく相手が尋ねてきた。 「ハハ、しないといけないですよね……」。またか、の思いをかみ殺しながら、乾いた笑いをしぼり出す。「早く、この時間が過ぎないかな」 東京都内の広告関連会社に勤める男性(37)は、男性同性愛者のゲイであることを一切、カミングアウトせずに働いている。偏見が、まだまだ多いと感じているからだ。 「自分はそうかも」と思ったのは高校時代。社会人になって上京、ゲイの仲間に出会って確信した。社会人2年目の時、男性の恋人ができた。 会社では、言えなかった。 「同期の職場に、そういうヤツ(同性愛者)がいるんだって」。同僚が、