なぜ紙の辞典はなくてはならない?『広辞苑』の中の人に聞いてみる 「日本語の規範」といわれる国語辞典の代表格『広辞苑』(岩波書店)。1955(昭和30)年5月の初版発行から60年がたち、還暦を迎えた。今や辞典は片手でさくさく使えるスマホアプリとなり、デジタル全盛の時代にその形を変えて定着しつつある。 そんな中、来るべき第七版の発行に向けて地道な編さん作業を続けているのが、広辞苑をつくる岩波書店辞典編集部だ。副部長の平木靖成さんに素朴な疑問をぶつけてみた。「なぜ紙の辞典はなくならないのでしょうか?」 その答えから見えてきたのは、気が遠くなるような編さん作業に携わる人々の思いと、広辞苑が世の中に発信する「意外なメッセージ」だった。 プロフィール 平木 靖成氏 株式会社岩波書店 辞典編集部副部長。1992(平成4)年入社、翌93年より辞典編集部に配属となり、以来『広辞苑』をはじめとした辞典編集・発