朝、上海の自宅でパソコンを起動し、チャットツールを立ち上げると、まるで待ちかまえていたかのようにすぐさま、中国人の知り合いが話しかけてきた。「個人的に話したいことがあるんだけど、いいですか」と。昨年12月27日のことだ。 いやな予感がした。というのも、その前日、安倍晋三首相が靖国神社を参拝していたからだ。 話しかけてきた中国人は、上海に住む30歳前後の男性。仕事上の付き合いは割りにある方だが、プライベートな話は、仕事のついでにチャットで年に数回する程度。それがこのタイミングで朝一番に、日本人の私に「個人的に話したいこと」とは何か。靖国参拝にまつわる話かもしれない、との考えが頭をよぎるのは自然なことだろう。 2012年の反日デモ以降、中国市場で落ち込んでいた日本製品の売り上げに回復の兆しが見え始めたとの報道がちらほら出始めていたが、それも今回の参拝でどうなるのだろう。そんなことを考えていた矢