「フモさんの誕生日にはシャツ作ってあげる」と相方さんは言ったのである。それは8月のことで、そしてオレの誕生日は9月だったのだが、この10月、やっとそのシャツは完成したようなのであった。そうして送られたシャツは、1ヶ月遅れの誕生日プレゼントではあったが、きっとオレはその1ヶ月分、彼女に祝福されていたのだろうと思うことにしたのだ。 よく見なければ判らないのだが、黒のような生地にはちょっと緑が入っていて、光線の加減で違った色に見える。小花の柄の生地は、実は相方さんと手芸屋に行った時にオレが選んだもので、こういったテキスタイルのシャツがもともと好きだったりしていたのだ。要するにこの小紋、オレの趣味なのである。 男物のシャツというのは、このシャツのように台襟があるものと、パジャマや開襟シャツのように台襟のないものでは、製作手順に歴然とした差があり、初めて作る相方さんは相当苦労したのではないかと思うの