鎌倉時代に中井町から「行方不明」になっていたとされる仏像が、山形県鶴岡市の寺院に保存されていることが分かった。持ち去ったとみられるのは、曽我兄弟の仇討(あだう)ちで討たれた工藤祐経の一族。伊豆から逃亡する際に一門の守護を願って運び出したとの伝承の存在が、最近になって一族の子孫から関係者を通じて町にもたらされた。現地で確認した中井町の住民らは、800年余の時を経て解きほぐされた謎にさらに迫ろうと、詳細な調査や両市町の交流を描いている。 もともとは中井町にあったとされているのは、鶴岡市大鳥地区の龍雲院にある大日如来坐像。青銅製で鎌倉時代の作とされ、市指定文化財となっている。 地元で語り継がれる「落人伝説」によると、源頼朝の配下にあった工藤祐経が曽我兄弟に討たれた後、身の危険を感じた弟の祐茂は伊豆を離れ、6年間の流浪の末、大鳥地区に村を開いた。この際、「相模の国田中の森」に鎮座していた大日如