俺の母親は、俺が2歳の時にがんで死んだそうだ。 まだ物心つく前のことだから、当時はあまり寂しいなんていう感情もあまりわかなかった。 この手の話でよくあるような、「母親がいない事を理由にいじめられる」なんて事も全然なくて、良い友達に恵まれて、それなりに充実した少年時代だったと思う。 こんな風に人並み以上に楽しく毎日を送れていたのは、やはり他ならぬ父の頑張りがあったからだと今も思う。 あれは俺が小学校に入学してすぐにあった、父母同伴の遠足から帰ってきたときのこと。 父は仕事で忙しいことがわかっていたので、一緒に来られないことを憎んだりはしなかった。 一人お弁当を食べる俺を、友達のY君とそのお母さんが一緒に食べようって誘ってくれて、寂しくもなかった。 でもなんとなく、Y君のお弁当に入っていた星形のにんじんがなぜだかとっても羨ましくなって、その日仕事から帰ったばかりの父に「僕のお弁当のにんじんも星