『ルポ 虐待―大阪二児置き去り死事件』杉山春・著(2013年)ちくま新書 9月4日、ルポライターの杉山春さんの新刊『ルポ 虐待―大阪二児置き去り死事件』(筑摩書房)が刊行されました。2010年の夏、ネグレクトされたうえ、マンションの一室に置き去りにされた3歳のあおいちゃん(仮名)と1歳9カ月の環くん(仮名)の死を通して、幼児虐待や女性の貧困について分析しているルポタージュです。 本書では母親である芽衣さん(仮名)や芽衣さんの父親、元夫とその家族に至るまで、ネグレクトされた幼児2人の周辺にいた様々な人たちについて取り上げられています。同時に、芽衣さんや周囲の人々の育った街や事件の起こった街、ならびに、日本社会全体の変容にまで言及されており、この事件が日本社会全体の歴史から見てどういう位置にあるのか、というマクロの視点でも、事件に対する分析がなされています。非常に読み応えのある一冊で、ぜひ女性