囲碁界では長く待たれてきた七冠だが、将棋では20年前に羽生善治棋聖(45)が達成。しかし初手から終局まで100手前後の将棋と違い、囲碁は300手を超えることもある。1局にかかる肉体的、精神的な負担は大きい。複数のタイトルを同時に保持することは至難の業で「道中が長い囲碁で七冠に挑むのは不可能と思っていた」(小林名誉三冠)。 脳の「総合力」が問われる 数々の記録を塗り替えてきた井山にとっても七冠は3年越しの夢。「私には時間がない。今回が最後のチャンス」と不退転の決意で臨む。一方の伊田は昨年4月、高尾紳路九段(39)を破り史上最年少で十段位を奪取した若手のホープ。「1人が全部のタイトルを独占するのは同じプロとして恥ずかしい。最後の砦として戦う」と土壇場からの大逆転を狙う。 自身も小学校入学前から囲碁を打っている脳科学者の茂木健一郎さん(53)は「囲碁は記憶力や集中力、推理力など総合的な力が問われ