1985年の映画の話題といえば、幻に終わった押井守版『ルパン三世』がある。前にも別のコラムで触れているが、改めてこのタイトルについて書いておく。 僕達が、この映画の事を知ったのは「アニメージュ」1984年10月号の巻頭特集。特集のタイトルは「'85年夏 監督・押井守 映画『ルパン三世』決定!」だ。特集に掲載された押井版『ルパン三世』のビジュアルは、押井守と天野喜孝の手によるイラストがそれぞれ1枚だけ。この段階で、まだデザインがあがっていなかったのだろう。 1978年の『マモー編(『ルパン三世』)』、1979年の『ルパン三世 カリオストロの城』に続く、3本の劇場版になるはずだったタイトルだ。元々、宮崎駿のところに来た企画だったが、宮崎は今の自分がやるべきではないと考えて、押井守を監督として推薦した。当時、フリーになっていた押井は、宮崎の事務所に居候していたのだそうだ。 押井は、これを前衛的な