最近、「ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ」という映画の音楽を担当した。 太宰治の生誕100年記念として企画された映画で、原作は小説「ヴィヨンの妻」。監督:根岸吉太郎、脚本:田中陽造。主演は、松たか子、浅野忠信。公開に先立ってモントリオール国際映画祭で最優秀監督賞を受賞し、この10月に全国ロードショー公開された。 そこでこの機会に、映画音楽について体験談も交えてお話しておこう。 * ◆映画音楽とは? 「映画音楽」というジャンルが登場したのは、1920年代にトーキー映画が普及してからだから、結構新しい。 当然ながら主立ったクラシックの作曲家は関与しておらず、「映画音楽」というジャンルに音楽を提供したのは、オネゲルやミヨー、プロコフィエフやショスタコーヴィチあたり以降の現代作曲家ということになる。 ただし、〈作曲家〉(および脚本家)が中心になって作られていた「オペラ」に比べ、「映画」を統括するのは(