政治と経済の混乱が続く南米ベネズエラで反政府デモが激しさを増している。新憲法の制定を掲げるマドゥロ大統領が、内容を立案する制憲議会の議員選挙を30日に強行しようとしているためだ。野党が「違憲」と批判するなか、選挙は与党だけで行われる見通しで、新憲法が大統領に強大な権限を与えかねないとして懸念が高まっている。 「逃げろ!」。28日、首都カラカス。治安部隊が催涙弾を次々と発射すると、デモ隊がちりぢりに走り始めた。周囲に立ちこめたガスで、目がひりひりと痛み呼吸が苦しくなる。デモ隊は路地にバリケードを築き、火炎瓶や、鉄パイプを使った手製の「銃」で反撃。ただ、装甲車やゴム弾を備えた治安部隊にはかなわず、けがをした数人がその場で拘束された。 「治安部隊は至近距離から撃ってくる。息子は撃たれて命を落とした」。デモに参加したスヘマル・アルマスさん(35)は怒りを隠さない。17歳だった長男ネオマルさんは6月