朝鮮語を表す文字はハングルと呼ばれる。「ハン」は「大きな」という意,「グル」は「文(ふみ)」という意で,合わせて「大いなる文字」という意味だとされている。これには異論もあるが,現在では定説とされている。 このことから分かるとおり,「ハングル」というのは文字の名称であって,決して言語の名称ではない。だから,「ハングル語」などというのは日本語を「カナ語」と言っているようなもので,実に滑稽千万な呼び方なのである。「私はハングルが話せます」というのも「私はカナが話せます」と言っているのと同じで,かなりの芸達者な人といえよう。誰が言い出したのか知らないが,このような変な言い方が広まっていることは誠に悲しむべきことである。 ハングルは,丸や四角が入り混じり,何やら変な記号のようで一見難しそうに見えるが,この文字を読むこと自体はさほど難しくない。例えば【図1】のハングルは,カタカナの「レ」のような形の部