このビルの三階に、赤羽を代表する占い師がいる。 そう、あの、泣く子も黙る、〝赤羽の母〟だ! ・・・まあ誰も〝赤羽の母〟なんて呼んでませんけど。 俺が勝手にそう呼んでるだけですけど。 いや、一回も占ってもらったこと無いし、 話したこともないので、正確には呼んでもいない。 ただ、思ってるだけ。 ・・・いや、思ってもいないな。 正直、今考えついただけである。 でもここは敢えて、〝赤羽の母〟と呼ばせて頂く。 彼女の存在は、10年近く前から気になっていた。 その辺の街角とかスーパーとかで、しょっちゅう見かけるんですもの。 いつか占ってもらいたいと、長年、漠然と思ってたのだが、 今年は赤羽に金を遣いまくると決めたことだし、、 今日こそ〝赤羽の母〟に占ってもらおうと決起した。