巨額の財政赤字でデフォルト(債務不履行)の瀬戸際に陥り、世界経済の混乱を招いているギリシャでは、国民の危機感は意外なほど薄い。 同国は19世紀までオスマン帝国の支配下に置かれ、欧州で長く孤立、いまだに債務粉飾や汚職、不正がまかり通る。民主主義や市場経済の基本的価値観が根付く前にユーロ圏入りしたことが、現在の危機の一因となった。 若者に人気のギリシャのラジオコメンテーター、ディミトリス・カザキス氏(49)は「デフォルトになっても大騒ぎすることはない。以前にも危機はあったが、国はなくなっていない」と話した。一般市民は、ユーロ圏諸国がギリシャ支援策と引き換えに緊縮財政を求めていることに抗議デモを繰り返し、「腐敗政治から身を守る」との口実で脱税を正当化する人も多い。 第2次大戦後、内戦や軍事独裁政権が続いたギリシャで、現在の共和制が始まったのは1974年になってからだ。81年、欧州連合(EU)の