会見に臨む加藤勝信官房長官=24日、首相官邸(春名中撮影) 日本の人権外交が岐路に立っている。中国新疆(しんきょう)ウイグル自治区の人権弾圧に対し米国や欧州連合(EU)などが制裁に踏み切る中、日本政府は深刻な懸念の表明にとどまる。人権侵害を理由に制裁を行う法律の規定がなく、対話や協力を重視する外交を展開してきたからだが、与野党からは制裁や新法整備を求める声が上がり、対話路線をとるミャンマーでは国軍の弾圧が深刻化。その限界があらわになっている。 「わが国の制度は人権問題のみを直接の理由として制裁を実施する規定はない」 加藤勝信官房長官は24日の記者会見で、先進7カ国(G7)で日本だけ対中制裁に踏み切っていない状況を問われ、こう答えた。EUの中国制裁は自治区の責任者らの資産凍結などを盛り込んだ。日本の場合、外国為替および外国貿易法(外為法)が海外当局者の資産凍結などを規定。2011年にシリアの