遠い日の夏、私はこの「青春浪漫 告別演奏會顛末記」という物語を書いた。きっかけは当時一浪中だった元学級委員メガネユキコ女史から「フェアウェル・コンサート」のライブ・テープの追加注文の連絡を受け、理由を訊けば、同級生だった女子が入院治療中なので見舞いに持って行きたいと言う。 私は辛うじて大学生になっており、しかも夏休み中バイトもせず家でブラブラしていたので、二つ返事で承諾した。そしてテープをダビングしている時、ふと、これだけではあまり芸が無いなと考え、コンサートの裏話を面白おかしく書く事を思いついた。 高校時代の日記、機関誌ダンディー、授業中に交換した様々なメモ、未だ鮮明だった記憶を辿って、およそ一週間ででっち上げ、直筆したノートを持って、わざわざ大学の図書館に行きコピーを取った。現在のように近所にコンビニなど無い時代である。 無いと言えばパソコン、携帯電話といった今ではあって当然の物も存在