90年代に僕たちを魅了したベックが再び黄金期を迎え、グラミー賞で最優秀アルバム賞を受賞した。そんな慶事に水を差す軽率な“兄ちゃん”がいた。カニエ・ウェストである。 Text: Masako Iwasaki 2月9日に開催された第57回グラミー賞授賞式で、ベックが6枚目のアルバム「モーニング・フェイズ」で年間最優秀アルバム賞を受賞した。怪我で脊髄を損傷したたことから、音楽活動をやむなく中止して治療に専念してきたというベック。辛い時期を乗り越えての完全復活に、会場内からは惜しみない拍手が送られた。 ベックを讃えたのは、同じように最優秀アルバム賞にノミネートされたビヨンセやエド・シーラン、ファレル・ウィリアムス、そして4冠に輝いたサム・スミスも同様だった。 しかし、この感動的なシーンに水を差した空気の読めない人物が一人いた。カニエ・ウェストである。 ベックがトロフィーを受け取ってマイクへと向かっ