戦後70年を迎えたこの8月、戦争というテーマに正面から向き合おう、というNHKの姿勢が例年にも増して目立っていた。8月10日に放送されたドラマ『一番電車が走った』(総合・午後7時30分)は、原爆から3日後に、焦土の広島で路面電車を走らせた実話を元にした物語。制作はNHK広島放送局、主演・黒島結菜の集中力ある演技も光った。取り組む意欲はひしひしと伝わってきた。 しかし、どうにも説明的なセリフが目立ち、一目でセットとわかる平面的な映像も多く、「肌感覚」を揺さぶる要素が十分に伝わらずドラマ世界にどっぷり引き込まれるというより、一歩離れて冷めて見ている自分がいた。注目のドラマだっただけに少し残念。