その青年は特に際立った特徴もなく、かといって不真面目と呼べるような人間ではなかった。ようするに平凡な人物なのだ。ある日、青年がいつものように会社への道を歩いていると、突然、青年の心に語りかける声が響いた。 「あなたは惜しいことをしている。あなたには時間をさかのぼる能力が生まれつき備わっているのだ。こんな素晴らしい能力を埋もれさせていたのでは実にもったいない」 「そんなにいうのでしたらどうです、ひとつ証拠でも見せてもらえないだろうか」 「いいでしょう」 そんな声がして、視界は一変して青年の部屋の天井へと移った。青年はベッドに横になっていた。 「これはどういうことだ」 青年は首を傾げた。確かいま会社への道にいたのだ。どうして自分の部屋に戻ってきたのか。これは夢なのだろうか。そう考えるのが一番自然だろう。青年は確かにベッドの中で横になっているのだ。 しかし、青年はテレビをつけて驚いた。なんと今日
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