「あの日、中邑と話したこと? 言わないほうがいいでしょう」 1月30日、後楽園ホールでのラストマッチを最後に、新日本プロレスを退団した中邑真輔。大会終了後の控え室で、長年、犬猿の間柄であった柴田勝頼は、自ら中邑に声をかけていた。 「10年前だったら成立しないシチュエーション、会話だったとは言えるでしょうね。ほかの選手がみんな意外とハケるのが早くて、俺はまだひとりシャワーを浴びたりしてたんですよ。そのあと、なんとなく『まだいるかな?』と思って向こうの控え室を覗いたら、いたんで。(声をかけたのは)たまたまですよ」 ほんの二言三言だったが、2人きりで会話をしてみて、中邑に対する印象が変わることはさほどなかった。ただ、柴田が新日本を退団した10年前の頃と比べて、「意外と物分かりがいいやつなんだな」と感じた。 10年という時間は、人も、取り巻く状況も、大きく変化させていた。 「もし、俺があいつの控え