5年ほど前に、この楡周平の読み応えある小説「陪審法廷」を読み終わった時、胸の奥からこみ上げる熱いものをこらえ切れなかった。そして思った。もし自分が将来において、「裁判員」に選任されるようなことがあれば、その時はもう一度この一書を深く読み返そう・・・冷めやらぬ興奮とともに心でそう誓った記憶は今でも鮮やかだ。 裁判員制度導入の前に問題提起の一石を投じた作品 Sponsored Link Advertising 日本版の陪審員制度とも言える、国民参加の裁判員制度が導入される前に発表された作品だが、それを意識して執筆されたのはまず間違いないだろう。 物語は終身刑か無罪かという、第一級殺人罪で裁かれる日本人少年研一の事件を軸に描かれる。 アメリカのフロリダ州で、義父に3年間に渡り凌辱を受けていた少女パメラからのやむにやまれぬ告白により、彼女に想いを寄せていた研一が激しい義憤に駆られ、その義父に向けて
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