31年前、東京大学に転職してきた時、本郷キャンパスの多くの先生が紺かグレーの背広を着て、重そうなカバンを持って歩いている姿を見て違和感を覚えた。創造の場だから、もっと明るく自由な雰囲気が必要なはずだと思った。東大の中でも本郷キャンパスが特にこの傾向が強かった。 サラリーマン時代の渋いワインレッドやブルーのワイシャツに、明るいグレーの背広で出勤すると、年長の教員から冷たい目で見られた。研究能力のない教員ほど保護色に自らを包み、重そうなカバンを持って歩いている。 私はアマノジャクだった。自由な服装をして、カバンを持たないで、紙の束か、今ではUSBメモリーをポケットに入れて、脳の働きを自由にして創造の力を最大限発揮しようとすることにしていた。以来ずっと、その自由闊達にして想像力を高めるライフスタイルを実行し、若い教員たちにも広めようとしてきた。それから30年経って少しは良くなったようだ。 大学の