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メダルも大いに期待されたスポーツクライミング女子複合で波紋を呼んだあるシーン。決勝進出選手中で最も背が低い森秋彩が、高く設定された最初のホールドをなかなかつかめなかったのだ。試合以前の問題では、という声もあがったが、森本人はあくまでも毅然と……。
そこから街中へと帰るわけだが、前日のウェールズ対ポルトガル戦の時には、なんとメディアバスが勝手にキャンセルされていた。運転手が現れなかったのだ(私は、イングランド人とウェールズ人が喧嘩歌合戦をしているトラムで帰った。これはこれで最悪の体験だ)。 ニースのメディア担当者は「このようなことが二度と起きないように対処する」とメールで詫び、日本対イングランド戦では万全を期すことを約束した。 「やめようかな。明日の朝、早いんだよね」 ところが、である。 メディアバスは25時にやってこなかった。私はラジオ出演があったため、バスを使うのを諦めていたのだが、利用した人の話によれば、結局、バスが出発したのは25時30分だったという。しかも、その運転手は驚きの言葉を取材陣に発した。
◆◆◆ WBCでは、ジャパン打線の素晴らしい打球が飛び交った。東京ドーム右中間スタンドの広告パネル、自らの顔面近くまで持っていった大谷翔平のホームランも、吉田正尚のライトポール際の本塁打も、最後に目覚めた村上宗隆の弾丸ホームランも、力任せのメチャ振りで距離を出した打球なんて、1つもなかった。 みんな、しっかりタイミングを合わせ、多少体勢に崩れはあっても頭は突っ込むことなく、バットの芯で捉えて振り抜いていた。 投手陣にしても、そうだ。 皆一様に150キロ前後の「快速」を持ちながら、エイヤーで投げて三振か四球かみたいな「剛腕」は1人もおらず、切り札になる変化球と、持ち球のすべてを操るコントロールを全員が兼備していた。 同じフォームで、同じ力感で、同じリリースポイントで投げれば、同じように狙ったポイントに決まる……そんな「再現性」の高さを発揮した快腕たちから、卓越した「技術」を見せつけられた。
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