事務系のお役人の必須スキルは文章力である。とはいっても正しい日本語を正しく使う能力ではなく、法令の規程を骨抜きにするためのフレーズ挿入のセンスが問われるのである。 この連載でも何度か紹介したが、お役所の文章を解読するための参考になればと思い、今回はよく使われるフレーズ「やむを得ない場合を除き」「当分の間」「目指す」の3つの用例を紹介する。 まず「目指す」の意味を紹介しよう。これは「我々は何もしたくありません」ということを強調するために使われる言葉だ。 たとえば、一般用語でも「富士山単独登頂を計画する」と書けば、少なくとも大筋の計画ぐらいは立案することを意味するが、「富士山単独登頂を目指す」と書けば、富士山のほうを向いて拝礼して「いつか登ってみたいものだなぁ」と考えるだけでも「目指す」に該当する。 お役所用語でも、たとえば「障がい者共生型社会の実現を図る」という当初文案が「障がい者共生型社会