「菊地成孔」で検索すると、このアルバム(『Tea Times』)がよく出てくるので、 てっきりこのアルバムは彼の作品であり、ジャケットに写っているのは彼だと思っていた。 しかしこれはピアニスト大西順子さんのアルバムであり、菊地氏は全体をプロデュースし、 全10曲中8曲を作曲している。それを大西さんが演奏しているという内容。 その制作とリリースに、大西さんの引退という出来事が関係してくる。作家の村上春樹さんが 小澤征爾さんと対談し、それを本にした『小澤征爾さんと、音楽について話をする』でも 触れられているように、大西さんには2000年の活動休止と2012年の引退表明がある。 そしてその引退後初めて作られたアルバムが、この『Tea Times』。 大西さんはほとんどの曲を自作しているし、プロデュースも人に任せたことはなかった。 だから包丁人のまな板の上に、素材として乗るような方式は、異例のこと